労働 × 自殺
最終更新: 2014-01-14 19:40
近年、”労働に関連する自殺” のニュースが相次いでいます。
こちらのグラフの「死亡総数における自殺の割合」(グラフ1の青線) を見ると、特に10代後半から30代にかけて、自殺を選ぶ人の割合が非常に高いことが分かります。
この原因はさまざまですが、ここ数年で就職活動の失敗を動機とした自殺 《就活自殺》 が増加を続け、主に20代前半の若者が苦しんでいることが明らかとなってきました(グラフ2)。 また20代半ばからは、過度な仕事によって精神障害を起こして労災請求するケースが急増し、 《過労自殺》 の件数自体も増加傾向にあるようです(グラフ3)。
byusでは、これらの問題を「労働 × 自殺」という観点から追っていきます。
目次
「就活自殺」7年で200人超
就活自殺が7年間で218人に上ることが分かりました。専門家らは「解決には、雇用環境を改善する必要がある」と指摘しています。また各大学は”心のケア”を中心とした対策を行い、自殺者減少に向けて動きだそうとしているようです。
A.下記のグラフ2を見ると、平成19年~24年の5年で2倍以上に増加しています。
グラフ2
A.早稲田大学キャリアセンターからの回答によると、学内に設置された「保健センター」には「学生相談室」と「こころの診療所」があり、ここで進路や対人関係、家族、性格、健康面など様々な悩みを相談することができます。
また、福岡大学就職・進路センターではカウンセラーによる相談を受けることができ、「就活自殺」の最も主要な対策である”心のケア”が実施されています。
Q.就活を経験された方は、就活をしていた時の心情はどうでしたか?(自殺を考えることがあったのかなど)
A.就活経験者からの回答には「選考不合格や不採用通知が来ると自信を失くした」「面接時にうまく回答できない自分が嫌になった」などと、落ち込んだ経験や自暴自棄になった経験が述べられていました。一方でどの経験者も自殺を考えることはなく、”相性が悪かっただけ”と自分に言い聞かせることで気持ちを切り替え、厳しい就活を乗り越えていったようです。
Q.就活の経験を踏まえて、どうすれば自殺増加の現状を改善できると思いますか?
A.自分の考えにとらわれないように、周囲の人々に悩みを相談することが重要であるといいます。誰しもが気軽に相談できることが理想ですが、なかなか相談しづらい人もいるため、「相談室」のような形と「ネットでの取り組み」といった双方の環境を充実させることが求められるようです。就活による閉塞感は人の対話や相談によって晴れるだけでなく、《他の人がどのような就活をしているのかを聞いたり他己評価を受けたりすることも、気持ちを切り替えたり自信を取り戻すことに繋がると思います》との意見が寄せられています。
Q.就活を控える学生さんは就活に対してどのような不安を抱いていますか?
A.寄せられた主な不安は「就活のスケジュールが去年まで違うこと」「目指している仕事に就けるのか」「就職浪人になってしまうのではないか」といったものでした。特に”2015年度より就職活動のスケジュールが後ろ倒しになる点について不安に感じている”といった意見は、現在の大学3年生に特有の不安であると言えるでしょう。
Q.仮に就職活動が思うようにいかなかった場合には、どのような行動・対策をとろうと考えていますか?
A. 現在寄せられている回答には「就職留年」と「就職浪人」の2種類が挙げられています。大学に残って〈新卒〉として就活に臨むのがベストなのか、卒業して〈既卒〉として臨むのがベストなのか。この点については、それぞれ意見が分かれているところとなっています。
その他の質問・回答は下記をご覧ください。
「過労自殺」労災申請の急増
厚生労働省が発表した平成25年度の統計では、過労による精神障害で労災申請をした人は過去最多の1409人にのぼりました。このうち過労自殺(未遂含む)は177人となり、労災申請者の約13%が自殺している計算になります。
Q.労災において、「過労」による影響として認められるのは精神障害だけなんですか?(肉体的障害などはないんですか?)
A.厚労省の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」によると、過重労働によって発症した「脳・心臓疾患」も労災請求が可能です。労制請求件数は精神障害の約半数程度ですが、請求件数における死亡者の割合は脳・心臓疾患が高くなっています。
※平成25年度では、精神障害の全体請求1409件のうち177人の自殺者が労災を請求し、その割合は約13%(グラフ3)。脳・心臓疾患は全体請求784件のうち283人の死亡者が労災を請求し、その割合は約36%(グラフ4)。
グラフ3