地下鉄サリン事件 「最後のオウム逃亡者」高橋被告初公判
13人が死亡、6千人以上が重軽傷を負った「地下鉄サリン事件」。
あの日から、今年の3月20日で丸20年が経とうとしています。
そして今月16日、3年前(2012年)に逮捕された、高橋克也被告の初公判が始まりました。
事実上、この裁判が一連のオウム事件最後の裁判になります。
審理では、下記の4事件を扱います。
・VXガス襲撃事件
・東京・目黒の公証役場事務長拉致事件
・地下鉄サリン事件
・東京都庁郵便物爆弾事件
高橋被告は無罪を主張
地下鉄サリン事件について、高橋被告は「まかれた物がサリンだとは知らなかった。殺害の共謀もありません」として起訴内容を否認し、無罪を主張した。
引用:オウム高橋被告、地下鉄サリン事件の無罪主張 初公判:朝日新聞デジタル
また弁護団は「被告は信者の1人を地下鉄の駅まで送るように指示されただけで、殺人計画だとは知らされていない。共犯者が茶褐色の液体を持っているのを見たが、誰もサリンだと説明しなかった。教団では上からの指示は黙って従うものとされ、理由を問うことは許されなかった」と主張しました。
「影の薄い男」高橋被告の人物像とは
「ひかりの輪」代表・上祐氏によれば、
「(高橋被告は)主導的・積極的な性格というよりも、どちらかというと、おとなしい、受動的・補佐的という印象はあります」。
「要するに影の薄い男」「記憶に残りにくい人」とも。
【オウム裁判】平田信や菊地直子は、尋問中にメモをとったり、弁護人と打ち合わせる様子などを見ても、それなりの意思を持って裁判に取り組む感じがしたが、高橋克也はそれが全くない。今日も、左手に開いたノート、右手にペンを持ったまま、ほとんどメモせず、ただ固まって目をパチパチしてるだけ
— Shoko Egawa (@amneris84) 2015, 1月 19
【オウム裁判】昨日までの高橋被告は、証言にもほとんど無反応だったが、井上証言は両手を前の机の上に載せ、少し前のめりになって聞いていた。何度かメモも取っていた。ただ、顔は無表情…。
— Shoko Egawa (@amneris84) 2015, 1月 21
公判の様子
16日(金)
初公判の日。弁護側の冒頭陳述は、オウム問題入門からスタート。後半は、今後の裁判員の理解を助けるための法律講座となる。
19日(月)
中村受刑囚と、「ひかりの輪」代表・上祐氏の証人尋問。教団の教義や組織、犯罪にいたる心理についてなど、事件の外郭についての一般論が展開される。
- 上祐氏は「教団が教義に基づいて非合法活動をやっていることは、ごく一部の幹部を除いては知らなかった。秘密事項だった」などと、教団の教義や当時の様子を証言した。
20日(火)
この日からVXガス事件についての審理がスタート。午前中に検察・弁護側双方の冒頭陳述と合意書面の要旨が告知される。
- 検察側は、
「被告人が傘で視界を遮るなどの工夫を自らしている」
「実行犯らが暗殺を実施するための話し合いにもいた」
などの点を具体的に挙げ、殺意や共謀はあったと主張。
- 弁護側は、
「教祖の指示を受けて事件の立案をする幹部と異なり、被告人は一般信者の立場」「科学技術省が作るものはロクでもないものばかりで、事件の結果も知らされておらず殺意はない」と主張した。
午後は、VX事件の被害者永岡弘行さんが被害状況を証言。さらに、オウム事件で警察の科学捜査の最前線にいた警察関係者によるVXの基礎知識講座が行われた。
21日(水)
VXガス事件について、教団元幹部で被告を指示する立場にあった井上死刑囚の証人尋問。
事件の際、高橋被告は運転手役を務めていたが、
- 被害者の男性が重体に陥り病院に運ばれたことを「高橋被告に話したと記憶している」と証言。
- 高橋被告が「(自分もVXを)吸ったかもしれない」と不安がったのでオウム真理教医院に連れて行ってもらった
など、VXの致死性についての認識と殺人の謀議を否認する高橋被告の主張とは対立する証言が相次いだ。
【オウム裁判】井上証言によれば、永岡弘行さん襲撃では、実行役はそれまでと同じ山形明だったが、補助役は高橋に変更。理由は、新実智光が永岡さんに顔を知られているため。当日は雨模様。高橋が「雨が降っていれば、傘で(実行役と自分の姿を隠そうかな」と言って、車に傘を積み込んだ。
— Shoko Egawa (@amneris84) 2015, 1月 21
22日(木)
VXガス事件について、教団元幹部の中川死刑囚の証人尋問。
医師である中川死刑囚は実行犯がVXに触れるなどした場合の治療役として関わった。最初の被害者が病院に運ばれて集中治療室に入院したことが分かり、それまで半信半疑だったVXの効力について「治療しなければ人を殺す毒性がある」と認識していた。
中川死刑囚は、この別の事件で使われたVXについて、「毒性があり、治療しなければ人が死ぬ可能性があると(自分は)認識していた」とも述べた。高橋被告の弁護側は「被告はVXの危険性を認識していなかった」とし、無罪を主張している。
引用:中川死刑囚、証人として出廷 オウム・高橋被告裁判で:朝日新聞デジタル